社会学における現代の理論的アプローチには、「機能主義」「葛藤理論」「象徴的相互作用論」の3つがあります。今回は、機能主義について、わかりやすく簡単にまとめています。
目次
- 機能主義とは
- 機能主義の社会学者
- 有機体的類推
- マートンの影響力
- 機能主義の批判・衰退
機能主義とは
機能主義とは「社会とは、さまざまな部分が安定性と連帯性を生み出すために協調して作動する複雑なシステムである」という考え方を指します。
つまり、機能主義のアプローチは「社会学という学問は、社会のそれぞれの部分が、相互に、また社会全体とどのように関係するかを究明すべきである」という立場にあります。
機能主義の社会学者
機能主義の考え方は、1960年代まで、特にアメリカでは社会学理論の主導的な伝統でした。
機能主義の社会学者として、知られているのは、タルコット・パーソンズ、ロバート・マートン、エミール・デュルケムなどが挙げられます。
有機体的類推
機能主義者は、社会の活動状態を生き物の活動状態に例えるために、「有機体的類推」を行ってきました。
有機体的類推とは「社会の各部分は、人体のさまざまな部分と同じように、社会全体の利益のために、協調して作動する」という考え方です。
例えば、身体器官の1つである心臓を研究するために、私たちは、その器官が身体の他の部分とどのように関係するのか明らかにする必要があります。心臓は、血液を身体の隅々に送り込むことで、人間という生き物の生命維持を極めて重大な役割を果たします。
それと同様に、社会のある項目の機能を分析することは、その項目が社会の存続と健全状態の保持で果たす役割を意味しています。
マートンの影響力
機能主義者であるロバート・マートンは、社会学に大きな影響力を及ぼしたことで知られています。特に、顕在的機能と潜在的機能、順機能と逆機能という考え方は有名です。
顕在的機能と潜在的機能
顕在的機能は、特定の種類の社会的活動に参加する人びとがよく知っている、また意図している機能を指します。潜在的機能は、活動の参加者たちが気づいていない、その活動のもたらす帰結を指します。
顕在的機能と潜在的機能については、こちらの記事で詳しく解説しています。
順機能と逆機能
順機能と逆機能を説明する際には、「官僚制の逆機能」という考えが主に挙げられます。
官僚制は、非常に効率的な組織を作ることができますが、その一方で、非効率かつ外部との競争に遅れてしまう可能性があると言われています。
官僚制の順機能と逆機能については、こちらの記事で詳しく解説しています。
機能主義の批判・衰退
近年では、機能主義の限界が明らかになるにつれて、人気が衰退してきています。
機能主義者の多くは、葛藤や分裂を生み出す要因に考慮せず、社会的凝集性をもたらす要因を過度に強調しました。
凝集性…集合体の統合性の強さをさす概念
安定性や秩序に焦点を合わせることは、社会における、ジェンダーや階級や人種といった要因に基づく分裂や不平等状態が過小評価されることを意味します。
機能主義を批判する多くの人々は、「機能分析は社会が備えてもいない特質を社会に付与している」と主張しています。