地域おこし協力隊は、全国の過疎化が進む自治体で、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度で、2009年度から総務省によって制度化されました。
2009年から、隊員数も増加していき、過去には、隊員と自治体が一体となって、町おこし事業に成功し、多くのメディアに取り上げられたりしました。しかし、成功例は世間に広まっていく一方で、失敗例や隊員の嘆きはなかなか知られていません。
今回は、ブラック企業ならぬブラック自治体により、隊員がひどい扱いを受けた事例を2つ紹介しています。
目次
- 雑用させられたAさんの事例
- 何もさせてもらえないBさんの事例
雑用させられたAさんの事例
観光事業に携わりたくて応募
ある地域おこし協力隊Aさんは、観光に携わりたいと考え、ある自治体の募集要項の活動内容欄に書かれている「事務方、接客、道や観光施設、景勝地案内、SNSを使った観光PR」と書かれているのを見て、応募しました。
Aさんは面接を経て採用され、隊員に着任した一週間後に、自治体の観光施設に就任しました。
雑用ばかりのひどい扱い
実際に勤務開始となると、トイレや事務所内の清掃業務、駐車場のゴミ拾い、物産フロアの什器を開業前に物置から売場へ搬入、お客様が利用するフロアだけならまだしも、職員事務所や廊下の掃除機がけ、ゴミ箱整理、職員トイレの便器磨きまでさせられました。
清掃終わると、お金の取り扱いは、無いと役場での面接で言われていたのに、物産コーナーでのレジ業務をさせられ、現金管理もあり、あちこち使いまわしされました。
実際のところ、募集要項の活動内容欄の( )内に「施設の管理維持業務も含まれます。」と記載されていましたが、着任すると、カッコ内の管理維持業務ばかりさせられていたのです。
自治体のコストカットが目的か
この事例から見えることは、この自治体は、地域おこし協力隊のスキルや方針は一切無視しており、国の補助金を使って雇った協力隊を雑用にしているのです。
実質タダで雇うことができる協力隊を雑用にすることにより、清掃業者に清掃委託するよりコストもかからず、職員は楽することができるのです。
何もさせてもらえないBさんの事例
やる気満々で着任するも
地域おこし協力隊として採用されたBさんは、着任当初、やる気に溢れていました。
しかし、地域おこし協力隊としての仕事で募集がかけられていたにも関わらず、実際に着任すると、Bさんが行う仕事はなかったのです。
前例主義
Bさんが赴任した役場の中では、地域おこし協力隊は自分たちの仕事を増やす厄介者として扱われていました。そのため、何かしようと思い立っても協力してくれる人がいないのです。
その役場は今まで前例のない目新しいことは地域おこし協力隊にやらせないず、隊員が提案したとしても、「お金がないから無理」と言われるのです。
邪魔者扱いされる
給料は国から出ますが、他の管轄は村役場なので、役場のアルバイトと同じ扱いになります。しかし、一部の田舎では、役場で働くにはコネがないと働けません。
だから役場全体が身内みたいな関係であり、そこにコネもないヨソモノである協力隊が入ってみたら邪魔者扱いされるのは当然です。