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【社会心理学】ベッカー「ラベリング理論」とは?具体例を挙げてわかりやすく簡単に解説

投稿日:2019-03-07 更新日:

ラベリング論とは、アメリカの社会学者ベッカーによると、社会集団は、これを犯せば逸脱となるような規則をもうけ、それを特定の人々に適用し、彼らにアウトサイダーのラベルを貼ることによって、逸脱を生みだすという理論を指します。

今回は、ベッカーの著書「アウトサーダーズ」を元に、ラベリング論を簡単にわかりやすく解説し、まとめています。

目次

1. 従来の逸脱研究との違い

2. 逸脱基準の曖昧さ

3. 逸脱行動以外の例




1. 従来の逸脱研究との違い

ベッカーのラベリング理論は、社会的な逸脱を犯した人々に関する理論の1つですが、従来の逸脱研究と大きな点で異なります。

従来であれば、「個人が逸脱行動をするときには、必ず意識的・無意識的な動機が存在する」という前提のうえに逸脱行動を分析し、その動機を生み出す変数(知能指数、地域・過程環境、社会的な地位、社会的な孤立・疎外、パーソナリティ)を明らかにしようとしていました。

しかし、こういった個々人のもつ「属性」を重視した逸脱行動の研究は結果として、「黒人」や「低所得者」、「同性愛者」、「低学歴者」といった人々にスティグマを与え、「注意すべき人物」という偏見の増長を悪化させることにもつながってしまいました。

一方で、ベッカーの行った研究方法は、アウトサイダーたちの実態を、彼らとの日常的なコミュニケーションやインタビューをもとに描き出し、「逸脱とは、常に誰かの企画によって生み出されるものである」と主張し、所得水準や人種といった個人の属性こそが逸脱を生み出すという従来の社会学を批判しました。

彼は、いかなるプロセスによって、逸脱を生み出す「規則違反」は生成され、そしていかなる基準によって、その行為は逸脱とみなされるのかを問いなおしたのです。




2. 逸脱基準の曖昧さ

個人の行動が逸脱行動と見なされるとき、個人が「法」を犯して、「警察権力」によって取り締まられることにより、決定されます。

しかし、ベッカーは「法」と「警察権力」つまり、「善悪の判断」と「規則の適用」について、非常に曖昧に決定されるものであると主張しました。

「善悪の判断」は、政治的な意図があり、何者かの意図によって決定され、「規則の適用」についても、警察のさじ加減によって、変化します。

例えば、警察に対して、ヘコヘコと媚びへつらって賄賂を渡す人ではなく、反抗的な人の方がより多く逮捕されたり、白人と黒人が同じ罪を犯したとしても、黒人だけが逮捕されたりすることです。

ベッカーは、そのようにして特定の人々に対して曖昧にレッテルを張り、社会的に排除していく過程をラベリング過程と言ったのでした。

 

3. 逸脱行動以外の例

このように、ラベリング理論は「社会的な逸脱行動は他者からのラベリングによって生み出される」ということを示していますが、逸脱行為以外でも、同じようなことが適用できます。

アメリカの臨床心理学者リチャード・ミラーが行った小学5年生を対象に行った掃除に関する実験を例として挙げます。

ミラーは、あるクラスの小学校5年生の児童に対して、整理整頓しゴミを片づけることの大切さを話しました。一方で、別のクラスの児童に対しては「このクラスは整理整頓が行き届いている」「小綺麗なクラスの一員である」いうことが繰り返し告げました。

その結果、ゴミを片づけることの大切さを聞いた群の児童はゴミの散らかしが改善されなかったのに対して、小綺麗であるという「ラベル」を貼られた児童は他の児童に比べ、3倍もゴミの散らかしが改善されたという結果になったのでした。

このように、ラベリング理論は、逸脱行為以外にも、適用することができるのです。

 


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