アメリカの社会心理学者のフェスティンガーによると、対人的コミュニケーションには2種類あり、道具的コミュニケーションと自己充足的コミュニケーションであると指摘しました。
今回は、この2つのコミュニケーションの違いをわかりやすく比較しながらまとめています。
目次
1. 道具的コミュニケーション
2. 自己充足的コミュニケーション
3. 会社では、2つのバランスが重要
1. 道具的コミュニケーション
道具的コミュニケーションとは、相手に対して何かして欲しい時に、その目的を達成するために、道具のように使われるコミュニケーションのことを指します。
例えば、職場などでは上司から部下に対して、「資料をまとめておいて」などの命令や、チームスポーツなどで、「パスをして欲しい」などの指示がこれに当たります。
2. 自己充足的コミュニケーション
まず、自己充足という意味から見ていきます。自己充足とは、自分の中だけで物事を終わらせて満足するという意味があります。
自己充足的コミュニケーションとは、相手に対してお願いするのではなく、コミュニケーションを行うこと自体に目的が置かれており、自分を満足させるコミュニケーションを指します。
例えば、職場などでは、「おはようございます」「最近調子はどうですか」などがこれに当たり、仕事には直接関係ない挨拶や雑談がこれに当たります。
この自己充足的コミュニケーションは、直接的には仕事に関係しませんが、職場での人間関係の構築や緊張の緩和などに非常に有効とされています。
3. 会社では、2つのバランスが重要
対人的コミュニケーションには、2つの種類があることを説明しましたが、会社では、この2つをバランス良く使い分けることが、円滑に仕事を進める上で、重要です。
どちらかのコミュニケーションに偏ってしまった場合、どのようなことが起こるのか、例を挙げながら説明します。
道具的コミュニケーションに偏った場合
例えば、会社において、上司が部下に対して、道具的コミュニケーションしか使わなかったとします。確かに、最低限のコミュニケーションで指示を出すことができ、指示された部下は「表面的に」その指示に従って仕事を遂行するでしょう。
しかし、部下は内心、快く思っておらず、上司はその部下の最大限のパフォーマンスを引き出すことはできないでしょう。
このように道具的コミュニケーション、つまり指示ばかりするだけでは、良い関係は構築することができません。
自己充足的コミュニケーションに偏った場合
自己充足的コミュニケーションが多くなることは、人間関係を円滑する上で非常に良いことだとされていますが、こちらも度が過ぎてしまうと、2つの弊害が起こります。
仕事が進まない
自己充足的コミュニケーションばかり取ってしまうと、本当に重要な指示などが曖昧になってしまったり、そのコミュニケーションに時間を取られてしまって、仕事が進まないなどの弊害が起こります。
ハラスメントに当たる
あまりにもプライベートな話など、人は話したくないことや聞かれたくないことがあります。しかし、それを仕事の一環として聞くことはハラスメントに当たる可能性があります。
淡々と仕事をこなしたいという方もいるので、相手に合わせたコミュニケーションを取る必要があるでしょう。
このように、2つの対人コミュニケーションを説明してきましたが、これらはバランスが非常に重要です。また、職場だけではなく、日常生活でも活かすことができるので、少し意識することをオススメします。