功利主義とは、19世紀にイギリスで盛んになった考えで、それまで曖昧だった尺度を明確化するために、社会全体の幸福度が最大化するための行動指針と言えます。
ベンサムやJ.S.ミルはそれぞれ「功利主義」において議論し、考えを発表していますが、その共通する「功利主義」とは具体的にどのようなものなのか、有名なトロッコの例から4つの特徴をまとめています。
目次
・サンデルが話したトロッコの例
1. 帰結主義
2. 幸福主義
3. 最大多数の最大幸福
4. 公平性
・サンデルが話したトロッコの例
功利主義を説明する際に、サンデルが話したトロッコの例がよく用いられます。
上の写真のように、トロッコが暴走しています。もしあなたが何もしなければ、線路に縛りつけられていた5人はひき殺されます。
もしあなたが電車の線路のスイッチを切り替えて、トロッコを別の線路に引き入れれば五人は助かります。
ただし、別の線路には縛りつけられている人が1人だけいて、その1人がひき殺されることになります。あなたはスイッチを切り替えるべきなのでしょうか。
これを功利主義に基づいて考えると、どう考えるのでしょうか。 このトロッコの話に沿ながら、功利主義の4つの特徴を説明します。
1. 帰結主義
「帰結」=「結果」という意味です。功利主義では、行為を評価するのは、動機ではなく結果の方が重要であると考えます。
このトロッコの例では、「五人が死んでしまうのか一人が死ぬのか」ということに重きを置く必要があります。
2. 幸福主義
結果の良し悪しを決めるには、何らかの基準が必要です。功利主義では、その基準を人々に与える幸福が重要になります。
このトロッコの例では、「人が死なないこと」が幸福を満たすための優先事項になります。
3. 最大多数の最大幸福
功利主義の特徴として、最も有名なのが、「最大多数の最大幸福」=「全体の利益を最大化」がとても重要であるということです。
このトロッコの例では、1人を助けるよりも、5人を助ける方が幸福の量が多くなるので、そちらの選択が取られます。
4. 公平性
功利主義の最後の特徴として挙げられるのが「公平性」で、1人を1人として数えて誰も一人以上に数えないということです。
このトロッコの例では、もし1人の方が自分の友人や家族だったとしても、1人として公平に数えるので、5人の方を助けるということになります。
このように、1人の側が誰であっても、1人を犠牲にして5人を助け「社会全体の幸福度を最大化」を目指すのが、功利主義の考え方であるということができます。