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【社会学】ゴフマン「スティグマ」とは?意味や意義をわかりやすく簡単に解説

投稿日:2019-03-07 更新日:

スティグマとは、アメリカの社会学者ゴッフマンによると、それをもっていると否定的な意味で普通でない(例えば、劣勢、汚れ、不完全)と見なされてしまう、ないし見なされてしまいうるしるしを指します。

元々は、スティグマはギリシャ語で、奴隷・犯罪者・謀反人など異常ないし悪いところのある人びとを区別して示すため、身体に刻印されたしるしを意味していました。

今回は、「スティグマの社会学ー烙印を押されたアイデンティティー」の内容を要約しながら、ゴフマンのスティグマ論をまとめています。

目次

1. スティグマの3種類

2. スティグマの2局面

3. スティグマ論の意義




1. スティグマの3種類

スティグマをもつ者とは、共在において否定的な社会的アイデンティティをもつ者、として分類される人のことを指します。具体的に否定的な社会的アイデンティティは主に3つ挙げることができます。

・身体上に障害を持つ者

・性格上に欠点を持つ者

・人種、民族、宗教などの違いを理由に集団的な価値剥奪を受ける者

このような人たちは、否定的な社会的アイデンティティをもつ者として日常的かつ典型的に分類され差別される傾向にあります。




2. スティグマの2局面

この社会的アイデンティティには2局面があり区別されます。1つが、問題が起こらない限り通用し続ける「自明なスティグマ」で、もう1つが 要求がなければ示さないかもしれない「表向きは見えないスティグマ」です。

自明なスティグマ

問題が起こらない限り通用し続けるスティグマ者は、自分の社会的アイデンティティが、常人との共在において、緊張を生じさせるので、それをどのように処理するかというのが、問題になります。

その代表的な処理方法は、目立つスティグマをカバーリングすることによって 、自分のスティグマを前にした常人の相互行為上の戸惑いや気詰まりに配慮するやり方です。

しかし、カバーリングによって、常人に受容されることがあるにしても、それが「受容の見せかけ」ということをスティグマ者は知っています。

表向きは見えないスティグマ

上記のように、カバーリングしたとしても、受容されない社会的アイデンティティの場合、スティグマ者は自発的に撤退するか、パッシングする必要があります。

パッシングとは、例えば、行動空間を区分けしたり、オーディエンスを分離したり、印象操作をしたりして、自分が実際の社会的アイデンティティで分類されないようにさまざまな工夫をすることです。

 

3. スティグマ論の意義

ゴフマンのスティグマ論の新しい点は、個人がどう感じるかという主観の問題を社会学の重要な問題として取り込んでいる点です。すなわち、他者の見方の影響ばかりでなく、個人の受け止め方までを視野に入れた広がりのある概念なのです。

スティグマ論は、その問題にかかわっている個人の立場に身をおいて、その苦しさや改善すべき事柄を指摘していくという側面を持ちます。つまり、問題の渦中にいる個人の立場にたってみると、客観的な見方ではみえない事象や原因が見えてくるのです。

ゴフマンのスティグマ論は、内容は非常に難しいですが、様々な社会問題に対してミクロな視点から考察することができる、貴重な概念であるということができます。


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