最近話題となっている「里山資本主義」を実際に読んでみた感想と要約を簡単にまとめています。
目次
・要旨
・感想、考察
要旨
里山資本主義の基本的な考え方は、今までの資本主義社会の貨幣経済を利用して必要最低限のものは入手するが、
里山の木材資源を利用して発電したエネルギーをうまく利用し、今まで支出していた石油などを減らすことにより、グローバル経済への依存度を下げ、暮らしをより豊かにしていくことである。
生産過程における「分業」が良いとされてきた社会を少し離れた視点で考察し、それを批判的に書いている。
感想・考察
無闇に石油を輸入し、それを消費するのではなく、日本にあるエネルギー資源をうまく活用し、国民の支出全体、つまり輸入額を減らすことは有益である。しかし、この輸入額の減少が国際関係などにどのような影響を与えるかを考慮しなければならない。
また、里山を手入れすることは、生物多様性保全の観点から見ても、賛成である。
これらの里山資源をエネルギーとして人々が消費できるようになったのは、科学技術の発展による生成コストの低下が要因であると考える。もし、このコストの低下がなければ、この現象は起こり得なかっただろう。
市場経済での人間は、基本的に価格に非常に厳しく敏感である。また、里山資本主義は「気楽に都会で実践できる」という記述があったが、これは金銭的に余裕がある人のみで、実際にはできないのが一般的だろう。
そしてこの無駄なコストはかけないという考え方は、アメリカ資本主義的な購買による欲求を満たす行為の終焉を意味しているのではないかと考えた。これは現代社会で、シンプルな生き方、ミニマリストが流行しているのもそのためであろう。