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【要約・感想】残念な職場(河合薫)職場環境が悪いのには、理由がある!

投稿日:2019-04-06 更新日:

2018年4月にPHP研究所から出版された「残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実」という新書は、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了している河合薫さんによって執筆されています。

こちらの著書では、トップクラスの能力を有している日本人が、非効率で、意味不明なことが頻出する職場が生まれているのかを、様々な研究や600人強へのインタビューから改善の具体例が書かれています。

今回は、「残念な職場」を3分で読めるように要約し、感想、レビューをまとめています。

目次

1. 要約

1-1. 無責任な上司問題

1-2. 無能な経営者問題

1-3. 男VS女問題

1-4. 居眠りする問題

1-5. 残念な職場の改善策

2. 感想・レビュー




要約

この著書では、職場で発生する問題を大きく4つ取り上げています。それは、無責任な上司問題、無能な経営者問題、男VS女問題、居眠りする問題です。そして、最後にその解決策が述べられています。

無責任な上司問題

「責任は偉い人が取るもの」というのは、一般的な認識ですが、実際のところは「偉い人ほど責任は取らない」というのが正しいです。

例えば、よくあるのが、自分の指示で企画や事業が失敗に終わった時、自分は知らなかった、関係ないと責任逃れをして、一見筋が通っているような理論を展開し、部下に責任を押し付けるのです。

ではなぜ、無責任な人間が昇進し、上司という立場に立っているのでしょうか。それは、皮肉なことに、責任感がないものは昇進しやすいという事実があるのです。

日常の業務の中にも嘘や責任逃れが横行しており、そういう人は案外、上司や周囲から重宝がられます。つまり、嘘つき上手は、上からの「引き」で出世する可能性が高まるのです。

無能な経営者問題

会社では、「階層社会の論理」に絶対服従し、上司の理不尽な決断にも耐えられる人を有能であると評価します。

その階層を登って行ったとしても、考えることを放棄し、何事もないように過ごそうとする人がいます。彼らは既得権益が大好きです。

彼らの中には、運よく優秀な上司に巡り会い、階層組織の最後の社長まで上り詰めた人がいます。そういう人は、変化を嫌い、「自分の在任中は何事も起こらないようにしてね」と無言のプレッシャーを部下に与えます。

そういう社長には、経営する気が無いので、歴代の社長が残してくれた貯金を守ることだけに終始します。つまり、経営をしない、無能な経営者になるのです。




男VS女問題

職場で女性は扱いづらいと思われてしまっていますが、扱いづらいとされる女性の特徴のほとんどは、エビデンスがなく、イメージだけで決めつけられています。

実際に、職場で扱いづらいと思われる原因は、女性の特徴ではなく、女性の人数、割合であると言われています。

職場で男女の区別がなくなる比率は、女性が40%に達する必要があり、その割合に達して初めて、個人の資質や能力が正当に評価されるようになります。

つまり、女性の割合が40%を越えれば、「女はめんどくさい」と男女の違いを嘆く男性が激減し、女性は「個」の本当の力を試されるのです。

居眠りする問題

世界で1番睡眠時間が短く(7時間24分)、世界で3番目に食事時間に費やす時間が多い(117分)理由は、仕事終わりの飲み会が原因です。

残酷な長時間労働と寝不足に加え、ダラダラ飲む文化がサラリーマンの体を蝕み、過労死を量産させている。

この睡眠不足は、通勤電車の中で椅子に埋もれるように居眠りしたり、立ったまま居眠りしたりすることを引き起こします。




残念な職場の改善策

著者によると、この大きな4つの問題は、人生を邪魔しない職場を目指せば解決することができると、提言しています。

人生を邪魔しない職場では、仕事が提供するリソースを存分に享受できるので、仕事にやりがいを感じ、もっと頑張ろうと、やる気が高まります。

仕事が提供するリソース…自律性、能力の発揮機会、自由裁量、他人との接触、他人を敬う気持ち、生活の安定などで、心を元気にし、人に生きる力を与えるもの

 

感想・レビュー

この著書は、多くの研究を元にして書かれているので、一冊読むと、多くの心理学の実験と研究結果を知ることができました。

また、600人以上のインタビューを行なっており、本書内で、多くの企業人の生の声が掲載されているので、さまざまな会社の実態を知ることができます。

本書で取り上げている大きな4つの問題についての議論は、深く分析されている印象があり、読んでいて非常におもしろかったです。しかし、最後の改善策に関しては、納得のいく対策が提案されていなかったという印象を受けました。

これから企業に務める方や、職場で理不尽なことを受けている方には、ぜひ読んでみてほしい本だと思いました。


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