2018年12月7日に公開された映画「パッドマン」は、日本ではあまり有名になっていないが、インドではとても影響力のある映画と評されています。
パッドマンはアルナチャラム・ムルガナンダム(Arunachalam Muruganantham)というインドの発明家・社会活動家の人生を描いています。
彼は、生理のタブーに苦しむ妻を救うため、インド社会に革命を起こしました。
今回はこの映画の簡単なあらすじ(ネタバレあり)を整理し、この映画から考察できるインドの文化的背景を見ていきたいと思います。
目次
1. あらすじ
2. インド社会を考察する
1. あらすじ
主人公のラクシュミは、妻ガヤトリが生理処理のために汚れた布を使い回していることを知る。薬局にナプキンを購入しにいくが、その価格の高さに驚く。購入すれば生活が成り立たなくなる値段であった。
そこでラクシュミは、妻ガヤトリのためにナプキンを手作りし始める。
しかし、インド社会では月経に触れることはタブーであるため、村人を始め、家族からも距離を置かれるようになる。
その後、ラクシュミは別の村でナプキンを開発することを決め、必死の努力の末、幸運が重なり、コンペで賞を受賞し、インド中にその名を知らしめることになる。
結果的に世界中を驚かせる人物となり、国連本部でのスピーチも任されるようになる。
大企業にして大金持ちになるチャンスを得るも、金銭より周りの人を幸せにしたいという信条の元、彼は村に戻って活動を続けることを選んだ。
>>ラクシュミのその後と現在<<
2. インド社会を考察する
もしかするとこの映画を見ている際に、登場人物の行動に対して「なんでこんなことするの?」という疑問が浮かんだ方も多いかもしれません。
なぜなら、インドと日本では文化的背景が違うため、インドの文化を知っていなければ、理解し難い場面があったからです。
今回はこの映画から見えてくるインド社会を文化的背景から考察していきます。
生理がタブーな訳
劇中でも出てきたように、インドの村では生理になった女性は、仕事をすることができず、寺にも入ってはいけないという掟があります。
特に男性は生理について触れることがタブーとなっているので、生理について質問することさえ難しいようです。ではなぜ、インドにはこのようなタブーがあり、日本にはないのでしょうか。
それは圧倒的な教育の差と信仰の差にあります。
彼らは生理がどういう仕組みでなぜ起こるかわかりません。仕組みがわからないと言うことは、非常に恐ろしいことで、例えば昔の人は雷を非常に恐れ、「神が怒っている」という非科学的な結論をつけていました。
同様に生理も仕組みがわからず、上の者(母親や神主)が言う言葉を信じるしかないのです。
上の者もその上の者により伝承されてきた知識や信仰を伝えるので、結果的に古い伝統が染み付いてしまっているのです。
文化を変える勇気
文化とは人々によって作られ、引き継がれるものです。その文化で生きる者が、その文化が正しいと認識するからです。
一度、文化を変えようとすると、大衆から猛反対を受けます。なぜなら、人間は本質的に安定志向で、変化を好まないからです。
劇中でもあったように、ラクシュミも猛反対を受けていまいた。文化を変化させるためには、大きな勇気と相当な努力が必要だとわかります。