もしあなたが、ある組織や企業で何らかの不正が行われていると知ってしまったとき、内部告発者として通報するかどうかはとても頭を悩ませる問題です。結果として、通報者として報復人事を受けたりもみ消されてしまえば、リスク覚悟で勇気を出した甲斐が無いと言えます。
しかし、そのような報復リスクを背負ってでも、内部告発を実行する人もいらっしゃいます。なぜ彼ら、彼女らはそのような行為に及ぶのでしょうか。
今回は「見て見ぬふりをする社会(マーガレット・ヘファーナン)」を参考にしながら、その理由や特徴をまとめています。
目次
1. 多くの人は見て見ぬ振りをする
2. 彼らは反逆者ではなく、真実を信じる
3. 内部告発して得れるものとは
1. 多くの人は見て見ぬ振りをする
もし、社内で不正を見つけたとしても、多くの人はそれを見て見ぬ振りをし、内部告発することはありません。その理由は、自分への被害を考慮するからです。
実例として、内部告発したことにより、報復人事を受けて左遷されたり、休職を勧められたり、不当な扱いを受けるケースが多いです。
ある内部告発者に関する調査では、30%が武装した警備員に職場から追い出され、失業しています。また、それだけだなく、転職の際にレッテルを貼られ、次の仕事を見つけるのが難しくなるとも言われています。
さらに、人間関係においては、内部告発者は、周りから裏切り者で、反逆者の悪いやつだと認識されることがあります。一方で、内部告発者が正しいということが長い時間をかけて証明され、その勇気が尊敬されたりすることもありますが、非常に稀です。
それではどのようなプロセスで、彼ら、彼女らは内部告発に踏み切るのでしょうか。
2. 彼らは反逆者ではなく、真実を信じる
内部告発する理由で、誤解されることが多いのが、彼らが反逆者や規範に従わない人物だと思われることですが、それは事実とは異なります。
また、もう1つ誤解されることは、彼らが精神的におかしいという疑惑ですが、報復を受けたり、刑務所に入れられたりされますが、これも誤りです。
社内で行われる不正の中で、最も危険な不正は密かにではなく公然と行われ、また1人ではなく多くの人にとって、たくさんの目撃者や傍観者がいる中で行われます。
内部告発者はその人混みに立って、起こっている出来事を見ますが、どうにかして勇気を奮い立たせ真実を話さなければならないという気持ちを持ちます。
さらに、内部告発者は冷笑的ではなく、前向きな性格で、一般社会への反逆者ではなく、真実を信じています。ふてくされたり、落胆したりしません。
生まれつき反抗的なのではなく、愛する組織や人々が間違った方向に向かっているのを見て、声を上げずにはいられなくなるのです。
3. 内部告発して得れるものとは
内部告発者がリスクを冒してでも、行動するのには、彼ら、彼女らの信条に関わる理由があります。
内部告発者たちは、自分ができることをして、目をそらすことを選ばなかったと知ることで、心の安らぎを得ることができるのです。
また、彼らが他に得るものは、何が起こっても「自分自身と仲違いせずに」生きていくことができる自覚であり、自分を責めたり麻痺させたりするのではない、生き生きとした心との対話です。
時には罰や痛みに耐えなければならないにも関わらず、苦労して現実を直視した人々は、真実が大切であり、一番影響力を持っているという核となる信念を持っています。自分たちが世の中に影響を及ぼせる、真実を無視せずに正面から向かえば変化を起こせると彼らは信じているのです。