無縁社会とは、単身世帯が増え、血縁・地縁・社縁が崩壊し、人と人との繋がりが希薄になり、孤独になる社会を指します。
この言葉が注目されたきっかけは、2010年1月31日に、NHKスペシャル「無縁社会~無縁死3万2千人の衝撃~」が放送されたことが契機になっていると言われています。
今回はなぜ、日本社会の孤独死の現状と、なぜ無縁社会になってしまったのかをまとめています。
目次
1. 日本の孤独死の現状
2. 地方から都市への流入
3. 退職後の危機
4. 個人がしておくべき準備とは
1. 日本の孤独死の現状
日本の孤独死の問題は、たびたびテレビのニュースでも取り上げられます。孤独死の数は、年間で3万人以上で、死因は病気や自殺などさまざまです。
このような孤独死の場合、誰にも気付かれずに亡くなり、身元も判明しないまま火葬され、無縁墓地に送られることもあります。
また、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の世帯数の将来推計(2013年)」によると、単独世帯は、2010年の32.4%から2035年には37.2%へ上昇すると推計されています。
この単独世帯の増加によって、孤独死する人の割合も上昇すると考えられます。ではなぜ、無縁社会と呼ばれる、つながりのない社会になってしまったのでしょうか。
2. 地方から都市への流入
現在では、コンビニがどこにでもあり、一人暮らしをしていても、お金さえあれば、なに不自由なく暮らすことができますが、昔は違いました。
農業や漁業をする人たちは、生きるための手段として、その地域で共同体を作り、協力しながら生活をしていました。
しかし、近代化による都市化が進み、その土地の共同体以外でも生きていく選択肢ができ、多くの人が都市部へと流出しました。
これにより、今まで所属していた共同体との繋がり、つまり血縁や地縁と切り離されるようになりました。その代わりに、人々が作った繋がりが、社縁です。
3. 退職後の危機
都市部に流出した人たちで、生きるための手段として、会社の縁「社縁」を形成し、また新たな共同体を作り始めました。
日本人にとって、会社を共同体として捉えているために、会社に対して奉仕の精神が強く、仕事以外のプライベートでも、繋がりを持とうとします。
この点においては、アメリカやイギリスと大きな違いがあり、欧米の場合の共同体は血縁や地縁にあり、会社は稼ぎの場として捉えています。
この日本の社縁には問題があり、会社の社員には定年退職があり、退職年齢を迎えれば自動的に会社から追い出され、社縁も失います。
その結果として、社縁を失った人々は、血縁や地縁もないので、無縁になってしまい、孤独死に繋がると考えられます。
では、都市部で生きる人々はどのようにすれば、孤独を未然に防ぐことができるのでしょうか。
4. 個人がしておく準備とは
孤独死を未然に防ぐための方法は、いくつか考えられますが、まずは定年退職前から、会社と家族以外の人間関係や居場所をつくっておくことが大切です。
また、終活として、孤独死に備えるのであれば、在宅医療や介護保険、NPOの福祉サービスなどを利用して、孤独死を防げるような体制を作っておくべきだと考えられます。