「孤独な群衆」とは、1950年にアメリカの社会学者・リースマンによって発表された著作で、社会性格論という分野を打ち立てた著作として有名です。
「孤独な群衆」で書かれている内容を、簡単にまとめると、人々の性格や指向は、個々のそれぞれの性格に由来していると考えられていますが、実は社会環境によって由来するものだと主張しています。
その社会環境によって由来する性格は、社会的性格と呼ばれ、社会情勢に応じて変化するものであり、伝統指向型→内部指向型→他人指向型へと変化すると論じました。
目次
1. 伝統指向型
2. 内部指向型
3. 他人指向型
4. まとめ
1. 伝統指向型
中世ヨーロッパや、ヒンドゥ、ホピ・インディアンなどの社会を生きる人々の社会的性格を指します。高度成長潜在的な社会で、人口があまり増加してもその率は極めて低く、世代交代のスピードは著しく早いです。
日常生活の中では、エチケットや儀礼、日常的慣習、宗教などが重視されています。農業、狩猟などの第1次産業にほとんどの人は従事している社会で、家族や血縁集団への依存度が高いです。
それ以降の時代に比べて価値体系が固定している時代のことを指し、その社会を生きる成員たちは歌や物語などの口頭伝承によって伝統に従いながら生きるのが特徴です。
2. 内部指向型
ルッサンスと宗教改革と共に現れた社会的性格です。この社会では過渡的人口成長期で、食料の増加、新しい保険設備、医学の進歩などにより人口爆発が起こり、人口は急速に増加します。
生活の中で人々の選択は広がり、伝統に頼らずとも生きていけるようになります。その背後には親の教育や学校の誕生によって、何が正しいかを刷り込まれます。
例えるなら、人々は内面にジャイロスコープ(羅針盤)を持ち、自分の判断によって行動します。仕事には熱心で、生きる上で最も重視されます。
3. 他人指向型
戦後のアメリカの社会に新たに現われてきた人々の社会的性格のことです。この時代の人々は、外部の他者たちの期待と好みに敏感です。
この時期は初期的人口減退で、死亡率の減少のあとをおいかけて、出生率も低下し、中年・老年者が人口が増加しています。
人々の基準は内部指向型とは違って、自己内のジャイロスコープではなく、レーダーによって誰か、または何かに向かっていきます。つまり、個人の方向づけを決定するのが同時代人という他者ということになります。
その背後にはラジオやテレビなどのマス・コミュニケーションの発達や、裕福さによってもたらされた消費社会の始まりが挙げられます。
4. まとめ
以上の3つの型を簡単に整理すると、以下のように整理することができます。
伝統指向型→伝統に従う
内部指向型→学校に従う
他人指向型→周りに従う
人々の性格や個々それぞれ違いますが、その一方では社会環境の影響を大きく受けていることがわかりました。逆にいうと、社会環境を学ぶことによって、自分がどのような指向にあるのかのヒントを得れるということです。