ジョン・ケネス・ガルブレイス(John Kenneth Galbraith)は、カナダ出身の経済学者で、ハーバード大学の名誉教授です。
終身教授であったハーバード大学において、教鞭をとった1934年から1975年にかけて、50作以上の著書と1000を超える論文を著しており、1958年に著された「ゆたかな社会」は、最も有名なベストセラーです。
今回は、「ゆたかな社会」における「依存効果(dependence effect)」について、わかりやすく簡単にまとめています。
依存効果
依存効果とは、「消費者の欲望が自律的でなく、企業の働きかけによって喚起される現象で、欲望そのものが巨大企業の宣伝・販売活動に依存し、それに操られていること」を指します。これを例を挙げながら解説していきます。
例えば、最新のスマートフォンが販売されると、お店の前に長蛇の列ができることがあります。従来の考え方であれば、これは、メーカーが消費者の欲望を発見することができた事例と言えます。
しかし、そうした考え方に意義を唱えたのが、経済学者のジョン・ケネス・ガルブレイスです。ガルブレイスは、欲望は生産の前から存在するのではなく、生産そのものによって作り出されると考えます。
つまり、「売れる商品とは、単に消費者のニーズを発見したのではなく、新たに消費者のニーズを作り出した」と考えることができるのです。
消費者は自ら選択していない
「依存効果」が適用されるということ、つまり、消費欲望を満足させる過程自体によって消費欲望がつくり出されることから、消費者は自立的な選択を行うのでないと言えます。
消費者の行動にもっとも影響を与えるのは、広告と見栄の力です。それらによって生産はそれ自身の需要をつくり出していると言えます。
見栄の力とは、アメリカの経済学者T・ベブレンが「有閑階級の理論」のなかで、言及したもので、必要性や実用的な価値だけでなく、それによって得られる周囲からの羨望のまなざしを意識して行う消費行動を呼び起こす力を指します。