従属理論とは、先進国の途上国に対する開発は、自由貿易と投資に沿って進められてきたが、結果としてグローバルな分断が常態化し、豊かな国と貧しい国の差がいつまで経っても変わらないという主張を指します。
今回は、「従属理論」について、特徴や批判など、わかりやすく解説しています。
目次
- 従属理論の成立
- 発展途上国の貿易は不利
- 先進国の投資は自国の利益追及
- 従属理論の解決策
- 従属理論の弱点(批判)
従属理論の成立
従属理論は、1960年代に提唱された理論で、生みの親の1人として、ドイツ生まれの経済歴史家、社会学者である、アンドレ・グンダー・フランクが知られています。
発展途上国の貿易は不利
国際貿易の自由化は、発展途上国を援助するための1つの手段であると認識されている場合もありますが、この理論では、豊かな国が貧しい国に対して優位を占め続けたままになる状況をもたらすと考えられます。
発展途上国は、原料を生産し、それが豊かな国に買われ、それをもとに製品が作られ、その製品は国内もしくは先進国同士の間で取引されます。
また、発展途上国の貿易のほとんどは、先進国との間で行われるので、発展途上国同士では、ほとんど貿易が行われません。
結果として、発展途上国の貧しい国は、豊かな先進国に対して貿易の弱い立場を脱することができず、自国の条件の良い貿易はできないままでいます。
先進国の投資は自国の利益追及
発展途上国の貧しい経済状況からの脱出の1つの方法として、外部からの投資があります。豊かな国が貧しい国に産業と投資をもたらす時、豊かな国は、経済成長を支援していると主張します。
しかしながら、実際のところ、地域経済に投資が行われているのではなく、地域の資源が搾取され、労働者には満足のいく給料は払われず、利潤は外国の株主たちに配分されているのが実情です。
従属理論の解決策
多くの従属理論家たちによって示される、危険に陥らないための解決策を模索するために、さまざまな議論が行われています。
その解決策として、挙げられている1つが、世界貿易やグローバル化、外国からの投資にオープンになるのではなく、それとは真逆の孤立化を選択することです。
近年では、従属理論は、反グローバル化や保護主義の動きの中で、影響しています。
従属理論の弱点(批判)
しかしながら、香港、シンガポール、台湾、韓国といったアジアの国々の目覚ましい経済発展をみると、従属理論の観点の不備を示すものであると批判する人もいます。
これらの国々では、少なからず国際貿易が、急激な成長と産業化の要因になっていたからです。
これらのことから、国際貿易が必ずしも、豊かな国と貧しい国を固定化するものではない可能性があるので、どういった条件であれば、貿易が発展へ繋がっていくのか、さらに検討すべきです。