文化相対主義とは、ドイツ生まれのアメリカの人類学者フランツ・ボアズによって、提唱された思想で、世界にはさまざまな文化が存在しているが、それぞれの文化間に優劣をつけることをやめよう、という考え方を指します。
今回は、文化相対主義について、具体例や反対意見を挙げながら、出来るだけわかりやすく簡単にまとめています。
文化相対主義の具体例
身近な海外旅行を例に挙げたいと思います。あなたが海外旅行に行った時に、自分の考えや文化では、全く想像もつかない現地の文化を目にしたとします。
例えば、「20歳の女性を毎年、生贄に捧げる儀式」や、もっと簡単なものでいうと、「犬食文化(=犬を食べる文化)」を目にしたとします。
そこで、あなたはどのような態度を取るでしょうか。ここで、「絶対にありえない、今すぐにでもやめさせるべきだ」と考える場合、それは文化相対主義とは離れた考え方と言えます。
一方で、自分の文化を基準に考えると、道理に反しているが、その民族の文化を認めて、理解や対話を進めていこうとするのが、文化相対主義の考え方であると言えます。
文化相対主義の批判
文化相対主義の批判は主に2つ挙げられます。1つ目は、他者の文化が人権侵害などを犯していた場合でも、それを認めることができるのか、という批判です。
例えば、アフリカなどでは、未だに割礼や女性性器切除などが行われており、その結果として多くの人が命を落としています。このような人権侵害している場合でも、その民族の文化を尊重し、認めることができるのか、という批判です。
もう1つの批判は、今まで劣っていると見なされたり、西洋化を強制されていた、自文化や自己の属する社会に長い間否定的評価がされてきた人たちにとって、文化相対主義の考え方は、都合のよい支配者からの甘い懐柔のための言葉に過ぎないという批判です。
この批判をポストコロニアル批判と言います。ポストコロニアル批判とは、第二次世界大戦後、世界が脱植民地化時代に入ると、それまで植民地だった地域は次々に独立しましたが、こうした旧植民地に残る様々な課題を把握するために始まった文化研究を指します。