日本では晩婚化や未婚化が進み、婚姻率は大きく減少してきています。また、結婚しないだけでなく、恋愛を1度も経験したことがなく、恋人ができたことない人の割合も高まってきています。
一方で、2005年にアメリカで発表された”A Couple-Centered Approach”という論文に興味深い研究結果が発表されました。
人は自分の足りない要素を持っている、正反対のタイプに惹かれると考えがちであるが、なぜ正反対のタイプではなく、似たようなタイプと結婚するのか、社会学と心理学の観点から解説します。
目次
1. 結婚に刺激は求めていない
2. マッチングアプリが流行る訳
3. 似た者同士でいる危険性
1. 結婚に刺激は求めていない
上記でも述べたように、人は自分と違ったタイプに惹かれると思われがちですが、実際のところ、多少惹かれることはあるかもしれませんが、結婚することはありません。
その理由は、結婚相手には「自己肯定感」や「居心地の良さ」を求めているからです。それらを得るためには、興味や刺激ではなく、価値観が同じ必要があるのです。
もちろんお互いの興味の方向性も大事ですが、興味は日々変わります。一方で、価値観はどんな時でも失いませんし、本当に変わりません。
価値観が合わないから別れるということは、よく耳にしますが、その理由は、価値観が違うと「自己肯定感」や「居心地の良さ」を得ることができないため、当然のことなのです。
2. マッチングアプリが流行る訳
近年、マッチングアプリが流行していますが、高いマッチンング率を出しているアプリには、この価値観の一致による居心地の良さを利用しています。
アプリに登録する際に30分ほど、どれくらい几帳面か、時間に正確かなど、価値観に関する質問をすることによって、ルックスだけでなく、価値観も満足のいく相手をマッチングさせているのです。
3. 似た者同士でいる危険性
似た者同士でいることは、一方で一定の危険性を伴います。それは、視野が狭くなり、幅広い意見や経験や違う価値観に触れる機会がなくなることです。
価値観が同じ相手といることは、居心地が良く、安心感を得ることができます。しかし同時に価値観が同じ相手を追い続け、少しずつ視野が狭くなってしまいます。視野が狭くなっていることは、本人は自覚できず、ほとんどの人がそのまま広く豊かな世界が見えていると思いたがってしまいます。
そして、最も恐ろしいことは、視野が狭くなってくると、さらに居心地の良さと自信を感じるようになることです。目の前の世界は縮んでいっているのに、たくさんのものが見えている気分になってしまうのです。