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【要約】J.S.ミル「自由論」とは?わかりやすく簡単に解説

投稿日:2019-02-06 更新日:

自由論とは、1806年-1873年に活躍したイギリスの哲学者ジョン・スチュアート・ミルが1859年に発表した書籍で、当時のヨーロッパ、特にイギリスの政治・社会制度の問題を自由の観点から指摘しています。

ミルの「自由論」は膨大な文書量の書籍ですが、今回はそれをコンパクトにわかりやすく簡単に要約、解説し、まとめています。

目次

1. 自由論とは一言で

2. 言論の自由

3. 行為の自由

4. 社会が干渉すべき領域

5. まとめ・日本社会と自由論




1. 自由論とは一言で

ミルが論じている自由とは、国家の権力に対する個人の自由です。ミルはこの個人の自由の概念が非常に曖昧だったため、明確にすべく、哲学的な結論を導くことにしました。ミルが導いた「自由」の結論は以下の通りです。

他人に迷惑をかけない限り、自分の利益を追求できる

この「自由」は大きく2つに分けることができました。「言論の自由」と「行為の自由」です。そしてミルは他人に迷惑をかける場合は、社会が干渉すべきであると主張しています。

 

2. 言論の自由

言論の自由は主に以下の3つの理由ゆえに認められなければならないと、ミルは主張しています。

・抑圧しようとしている意見が実は正しいかもしれないから

・それが誤っているとしても、一般的な意見が完全に正しいわけでもないから、相互に比較することで、正しい意見をより正しくすることができる

・両方の意見が正しい場合でも、様々な意見を吟味検討してこそ何が正しいかを自ら判断できるようになるから

その理由は、抑圧することによって、少数派が意見を言わなくなると、それ以上思想の進歩がなくなり、社会にとって大きな損失となるからです。




3. 行為の自由

行為の自由は主に以下の理由ゆえに認められなければならないと、ミルは主張しています。

・行為の自由は言論の自由と異なり、責任と危険がともなうので、言論の自由よりは制限されなければならない

・多様なライフスタイルが存在することは私たち人間にとって有益であり、伝統や慣習が行為を規制するところでは幸福の一要素が欠けてしまっている

・他人に損害を与えない限りで私たちひとりひとりが個性を発揮することが望ましい

・自分の生活を世間に従わせるのはサルでもできる。私たちは自らの計画を自ら立案することで、自己の能力を最大限に活用できる

その理由は、さまざまな行為があることで、どちらの行為が良いのか、社会は判断できるようになり、進歩していくと考えているからです。

 

4. 社会が干渉すべき領域

自由は保証されつつも、他人に迷惑をかける行為(=犯罪行為)には刑罰を与えることは正当であるとミルは主張しています。

なぜなら、他人に迷惑をかけるような犯罪行為は、他者の自由を侵害することになるため、社会は刑罰を与えることによって、より良い社会を形成することができるからです。

 

5. まとめ・日本社会と自由論

ミルは人々の個性が発揮されることが望ましく、それが社会全体の進歩に繋がると結論づけています。この考えは、すでに欧米諸国には浸透しており、日本より欧米の方が個性が活かされる教育を実施される理由も納得です。

一方で、日本は「集団行動第一」「周りに合わせるのが良いこと」という風潮がまだ色濃く残っていますが、その考え自体が「社会全体にとって損失である」とミルの考えから言うことができます。

人々がより多様なライフスタイルを選択できることが、社会の進歩につながると、1人でも多くの人に認識してもらいたいです。


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