組織とは、目標達成のために、人為的に構成された集団のことで、そこでは、権力関係や分業関係などが高度に制度化されています。
ドイツの社会学者マックス・ウェーバー(Max Weber)は、組織論における「官僚制」を提唱しました。近代国家や資本主義、軍隊などは合理的な官僚制になっていて、以下の3つの原則があります。
標準化:誰が何をするかを明確に決め、そのルールを守られる
階層化:誰が偉くて権力を持っているのかはっきりしている
没人格性:それぞれの行動は機械的に誰でもできるようにする
これらの原則を有する、「官僚制」について、今回はメリット・デメリットを簡単にできるだけわかりやすく説明していきます。
目次
官僚制のメリット
-合法的な支配・効率的な支配
-私生活の自由が守られる
官僚制のデメリット(問題点)
-適切さへの志向の過剰(逆機能)
-効率性への志向の過剰(マクドナルド化)
官僚制のメリット
合法的な支配・効率的な支配
ヴェーバーは、官僚制は合法的な支配のもっとも典型的な例であると主張しています。つまり、頂点に立つものは、合法的に、効率的に組織を支配することができます。
具体的にいうと、官僚制の場合、規則に基づいて組織が運営されるので、行動方針も明確で、方針に沿って効率的に業務を遂行することができます。
つまり、企業でいうと、一度命令が下されれば末端にまで伝えられ、正確に命令が実行されるので、トップが正しい判断を下せば、組織全体が効率的に動き、成功に導きやすいと言えます。
私生活の自由が守られる
これは最近の議論なのですが、近年、官僚制ではなく、新たな管理論の流れにおいては、組織員の自己充足や自立や責任が強調され、労働と非労働、理性と感情、公と私を再結合することが必要であると言われています。
しかし、それが過剰に進みすぎると、公的な仕事の場で、諸個人のコミットメントが過剰に調達されてしまう可能性があります。
それを防ぐことができるのは、ドゥ・ゲイによると、官僚制以外ないと主張しています。つまり、官僚制は、公と私の領域を明確に区切ることによって、私生活の自由を公的な圧制から守ってくれる倫理であると言えるのです。
官僚制のデメリット(問題点)
適切さへの志向の過剰(逆機能)
官僚制のデメリットとして、価値や手続きにこだわりすぎるために、適切さへの志向が過剰になってしまっているという批判があります。これは、マートンの「官僚制の逆機能」で説明することができます。
マートンによれば、官僚制により合理的で効率的な組織を作ろうとしたとしても、官僚制の持つ仕組みの堅さによって、組織の働きが阻害される可能性があると主張します。
効率性への志向の過剰(マクドナルド化)
官僚制のもう1つのデメリットとして、目標達成を目指しすぎるあまりに、効率性への志向が過剰になってしまっているという批判があります。これは、リッツアの「マクドナルド化」で説明することができます。
リッツアによれば、官僚制により効率性を最大限に求めた管理によって、人間同士の接触が極端に少なくなり、現代社会において、脱人間的なシステムが拡大していると主張しました。