アノミー(anomie)とは、無法律状態を意味するギリシャ語のアノミア(anomia)が語源の言葉です。
社会学的には、デュルケーム「自殺論」↗︎ の中で、近代に移行する過程で、それまでの人間の行為を規制してきた伝統的価値や、社会的基準の喪失にしたがって社会の秩序が崩壊したことを論じるために用いました。
目次
デュルケム・アノミーの意味
-アノミー的自殺の具体例
マートン・アノミーの意味
-アノミー下での逸脱行為
まとめ
デュルケム・アノミーの意味
デュルケームによる、アノミーは「産業化の進む近代社会において、それまでの社会規範が失われ、社会が乱れて無統制になった状態」を意味しています。
デュルケムの「自殺論」より、「アノミー的自殺」を具体例として挙げて、より噛み砕いてわかりやく説明していきます。
アノミー的自殺の具体例
デュルケムは、研究の中で、経営者の自殺に注目しました。経営者の自殺と聞くと、不況に伴う経営破綻が思い浮かびやすいですが、調査によると、好景気の時にも自殺が増えていることがわかりました。
デュルケムは、自殺の背景を、経営者が置かれている社会で、経済活動に適切な規制が存在せず、アノミー状態に陥っていると考えました。
つまり、このような自殺が増えている原因は、規制がないために、経営者がどれだけ努力したとしても、抱く欲望がそれを超えて膨れ上がってしまうので、その努力が報われない人生が、苦痛としか思えなくなるからです。
マートン・アノミーの意味
マートンによる、アノミーは「法律などの制度的規範が揺らぎ、ある目標を効率的に達成するならば、社会的に許容されていない手段にでも訴える状況」を意味しています。
マートンは、このようなアノミーが生じている社会では、逸脱行為が発生すると考えました。1900年代中頃の金銭的目標が文化的目標であるアメリカ社会を例に挙げています。
アノミー下での逸脱行為
革新
文化的目標は承認するが、制度的手段は拒否する
儀礼主義
文化的目標は拒否するが、制度的手段は承認する
逃避
文化的目標も、制度的手段も拒否する
反抗
文化的目標や制度的手段のいずれにおいても、一般に受け入れられている価値を拒否し、新たな価値による代替を試みる
制度的手段=社会的に許容されている手段
まとめ
デュルケム、マートンの主張は異なりますが、根本的には同じ課題を問いています。つまり、どのようなルール、社会であれば、個々人の自由と社会のまとまりとを適切に調和させることができるのか、という問題です。
以上が、デュルケム、マートンのそれぞれのアノミーの意味でした。