別れた恋人のことが忘れられない、できれば元カレ・元カノのことを忘れて、次の恋へと踏み出したいのに、ヨリを戻したいと思ってしまう。長い付き合いであればあるほど、未練を断ち切きることができずに、元恋人に固執してしまう傾向があるのも事実です。
一方で、なぜ元カレや元カノに固執してしまうのか、という理由がわかれば、固執せずに次の一歩を踏み出せるかもしれません。実は、その理由は「行動経済学」という学問を通して考えれば、理解することができます。
今回は、なぜ元恋人に固執してしまうのかを、行動経済学を使って、明らかにしたものをまとめています。
目次
1. 行動経済学とは
2. 保有効果
3. プロスペクト理論
4. まとめ
1. 行動経済学とは
行動経済学とは、人間が必ずしも合理的には行動しないことに着目し、従来の経済学では示せなかった社会現象や経済行動を、人間の行動を観察することで説明しようとする新たな経済学です。
人が判断して行動を起こす際の直感や感情を重視し、さらにそのメカニズムを明らかにする学問といえます。人間の心理に基づく行動に着目しているため、心理学とも深い関係があります。
次の章から、具体的な行動経済学で明らかになった法則を利用して、なぜ元恋人に固執してしまうのかを説明していきます。
2. 保有効果
行動経済学で明らかになった法則の中に、「保有効果」というものがあります。保有効果とは、「自分が所有しているモノに高い価値を感じて、それを手放すのことに抵抗を感じてしまう心理現象」を指します。
行動経済学者のダニエルカーネマンが行った有名な実験を例に挙げます。実験を受ける学生をランダムにAとBの2つのグループに分けて、Aグループには大学のロゴ入りマグカップをプレゼントします。
プレゼントした後すぐに、Aグループには「このマグカップをBグループにいくらで売るか?」と質問しました。
一方で、Bグループには「Aグループからいくらでマグカップを買うか?」と質問しました。その結果、以下のようになりました。
Bグループ: 2.87ドルで買う
たった今手に入れたモノなのに、手に入れていない状態と比べると、感じる価値は2倍以上の差が出ました。
このような保有効果を恋愛に当てはめてみると、元カレや元カノは1度保有していた存在なので、その人に対して高い価値を感じるようになっています。
そして、その人を手放すことに強い抵抗感を感じてしまい、結果として未練を断ち切れずに固執してしまうのです。
3. プロスペクト理論
次に「プロスペクト理論」を説明します。これは、損失回避性とも呼ばれており、「得をするか損をするかで価値の感じ方が異なってしまう心理現象」を指します。こちらも例を挙げます。
以下のような2つのくじを選ぶことができます。あなたならどちらを選ぶでしょうか。
ー事例1
・必ず1万円が当たるくじ
・50%の確率で2万円が当たり、残り50%は0円のくじ
この場合であると、多くの人が「必ず1万円が当たるくじ」を選びます。これは、「1万円を失う」恐怖を回避するために行います。つまり、損失回避性が働いているのです。
ー事例2
・必ず1万円の罰金は払わないといけない
・50%の確率で2万円を払わないといけないが、残り50%は罰金が免除される
このように条件を変えると、今度は「50%の確率で2万円を払わないといけないが、残り50%は罰金が免除される」を選択する人が多くなります。なぜなら、「罰金を払わないといけない」という損失を回避しようと行動するからです。
このようなプロスペクト理論を恋愛に当てはめると、元恋人を断ち切って新しい恋人を得ることよりも、所有していた存在を失うことの方がダメージは大きく感じるのです。
4. まとめ
今まで何気なく恋愛されてきたと思いますが、その中には「保有効果」や「プロスペクト理論」が働いていることがわかりました。
これらの心理現象を理解した上で、恋愛することで、より良い選択が可能になると思います。